はじめに
辛くて辛くてしょうがないときは、無理して仕事をしていてもよいことはありません。思い切って病気休暇を取りましょう。病気休暇の説明・取り方については下のブログに詳しく書いてありますので、よろしかったらクリックしてみてください。
病気休暇を90日とって休んでも回復に至らない場合、その後どうしたらよいのかを説明していきます。
病気休職とは
病気休暇が終わりそうになると、その後は復職かそのまま休むかの選択に迫られます。まだ状態が良くない場合は病気休職を申請することになります。
ただ病気休職は病気休暇と違って立場が逆転します。
簡単に説明すると、病気休暇は自分からお願いして休ませてもらうものに対し、病気休職は学校側からまだ勤務に就くことは難しいので休みなさいというもの。そのため辞令がでます。
ということで、自分が休みたいと言っても学校側が許可しなければ休むことはできないのです。許可してもらうために、心の病という環境下の中、色々な書類を準備しないといけません。
病気休職の手続き
病気休暇で治る見込みがない場合、早めに管理職に休職をしたいことを伝えることが大切です。
なぜなら休暇から休職にスムーズに移行するためには、上記でも述べてるように、色々な書類のやり取りが必要だからです。
大まかな流れは次の通りです。
※自治体によって手続きが違います。その辺は確認をお願いします。
1.休職願
→『病気休職願』という自治体の書式があります。それに従って記入(氏名や職名を記入するくらいです)
2.診断書2枚が必要
→休暇のときは、病院の形式の診断書1枚であったのに対し、休職になると教育委員会が指定した用紙に記入してもらうことになります。1枚はかかりつけの病院で、もう1枚は新しい病院です。用紙には病院が記入するところが細かくあるので、診断書金額が病院形式のときよりも高くなることが多いです。(目安としては3000円から5000円くらい)
病院に行くだけでもきついのに、さらに新規の病院へ行くということは、初めから症状を伝えなくてはならないこのでかなりしんどいですが、この診断書がなければ休職がとれないので頑張って!
3.学校から渡された書類(診断書2枚を含む)を学校へ提出
→学校に郵送でも大丈夫です。
これらを学校が教育委員会に提出すると審議され、休職が決定されます。
決定されると休職辞令がでます。
しかし休職の決定は、病院で例えば3か月の休職診断がでたとしても、教育委員会からの判定が2カ月というように違うことがあります。
そのため休職を延長するには、そのたびに申請をする必要があります。
延長の申請に関しては、『病気休職期間更願』という書類とともに、再び教育委員会形式の診断書が必要ですが、更新の時は自分のかかりつけの病院で1枚もらうだけです。
※これらも地域によって違うので、診断書が2枚必要なところもあります。どちらにせよ、更新するたびにまた診断書は必要になり、その都度診断書代がかかります。
休職中の給与の流れ
まず病気休職に入るとどうなるのか、何年とれるのか、給与面などについて先にお伝えします。
病気休暇は給料は満額支給で、ボーナスももらえましたが、病気休職となると次のようになります。
年 月 | 給 与 |
休職1日目から1年 |
|
休職1年超から2年6カ月 |
|
休職2年6カ月超から3年 | 無給 |
休職1年目
休職は最大3年間とることができますが、休暇との違いは支給される給与が満額ではなく8割になってしまうこと、その支給期間が1年間であることです。(その間、扶養手当・地域手当・住居手当・期末手当・寒冷地手当などの手当もでますが、通勤手当・管理職手当はでません。)
またボーナスは算定期間中に取得している病気休職期間に応じて、30%~100%の範囲で減額されますが支給されます。ただし基準日に休職している場合には支給されません。
初めの1年間は今までと同じように教育委員会から支給されます。
しかし休職が2年目に入ると無給になります。無給?どういう意味?
それは教員の給与は教育委員会から支給されています。1年間は教育委員会から出しますが2年目からは出しませんよということです。
休職2年目
次に助け舟を出してくれるのが、共済組合です。共済組合に所属していると傷病手当金を受け取ることができます。この申請をすると、
標準報酬金額の3分の2(約給与の60%くらい)が傷病手当金としてもらえます。
傷病手当金を受け取るまでの大まかな流れは次の通りです。
事前審査提出→審査(1ヶ月程度)→審査結果のお知らせ→請求書作成・提出→決定通知書が届く→支給
1.傷病手当金をもらうには事前審査があります。学校が用意する書類がたくあるので、1年以上休職することになりそうな場合は、早めに手続きのお願いをしましょう。
2.学校から事前審査書類をもらいます。自分で記入するところもあれば、病院で必要な部分を書いてもらうところ、学校が記入するところがあります。必要事項を記入し、それをまた学校へ提出し、学校から共済組合に提出されます。
3.傷病手当金の事前審査が通ると手当金を請求する手続きがあります。事前審査と同様、学校が用意する書類と自分が記入する書類があります。すべて用意ができたら学校に提出し、学校から共済組合に送ります。
4.その書類が確認されると決定通知書が発行されます。(共済組合→学校→本人に渡される)
5.毎月決まった日にちに傷病手当金が支給されます。(口座に振り込まれます。)
休職3年目
完全に収入はなくなるうえに、社会保険料等の支払は続きます。従って保険料分がマイナス収支となって毎月出ていきます。このあたりから復帰か退職かの選択にせまられます。
病気の見込みが立たない場合、休職期間が3年を超えると分限処分(職免)になります。なのでその前に依願退職を考える人が多いです。
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休職中の過ごし方
休職中は、身体をゆっくり休ませることはもちろんのこと、かかりつけ病院の主治医とともに適切な治療を受けることが大切です。その治療を受けながら少しずつ好きなことややりたいことを見つけ、自分がリラックスできる手段を見つけていきましょう。
休職中に、回復してきたからと自己判断し、治療を途中でやめてはいけません。心の病で病気休暇を取った人が復職後に不調をきたし、再び休職するというケースが多数あるからです。このことからも休職は休むということだけでなく、適切な治療を受けることが重要です。
体調が少しずつ戻ってきたら、医師の判断のもと日常生活のリズムを整えていきましょう。例えば
・起床時間や就寝時間を決める
・食事を規則正しくとる
・外出(散歩など)をする習慣をつけていく
こうして復職に向けてリハビリをしていきます。復職のタイミングについては、病状を見ながらかかりつけの病院の先生と相談していくことになります。なので、すぐに復職ではなく、段階を踏みながら進めていくので安心してください。
教員が復職に向けて少しずつリハビリをしていく制度をリワークプログラム(職場復帰支援プログラム、復職プログラム)といいます。自治体によって支援は様々ですが、どんなことをするのか東京都を例にとって説明していきます。
【実施の流れ】
①自分が学校を通してリワークプログラムの申請をします。
→復職アドバイザーが学校を訪問し、本人と管理職同席でプログラムを作成します。
②本人・管理職同席のもと医師による面接を実施します。
③開始決定通知が届くと、段階を踏んでプログラムが始まります。
→プログラムは1段階から3段階に分かれています。
④第2・3段階終了時には、復職アドバイザーが学校を訪問し、状況確認を行います。
⑤本人・管理職同席のもと、医師による面接を実施します。
⑥終了通知が届くと、復職予定日の40日前後に復職手続きを行います。
→復職後6か月以内に復職アドバイザーがフォロー訪問します。
【復職プログラム例】
~第1段階~
週3日、半日程度…パソコン練習等の軽作業
→通勤・職場に慣れることを目標
~第2段階~
週4から5日程度…授業参観や給食・掃除等参加
→教職員や児童生徒とのコミュニケーションを図る
~第3段階~
週5日(ほぼ全日)
→管理職のもと、授業の実施等
このように段階を踏むことで、自分自身が職場に少しずつ慣れていくことができますし、学校側は休職者の回復状況を判断することができます。
リワークセンターは、病気の再発を防ぎ、長く安定して働けるためのプラグラムを提供しています。
教育委員会が実施する職場復帰支援は、医療機関のリワークプログラムと連携しているところもあります。
まとめ
●病気休職は治療によって回復の見込みはあるものの、治療期間が長期にわたり必要で、その間職務の遂行に支障が生じる時は、当該職員を休職にすることができるというもの。つまり判断するのは、学校側。
●休職するにあたり教育委員会指定の
・かかりつけ医の診断書
・かかりつけ医とは異なる医師の診断書 が必要。
●休職が認定されると辞令がでるが、自分が意図した期間と違うことがある。そのため休職を延長するたびに再申請し、医師の診断書をとることになる。
●休職期間は最長で3年。
●給与は
・1年目は給与がでるが80%
・2年目からは傷病手当金が出るが約60%
・3年目は無給
●傷病手当金をもらうには、自分から学校に申し出ないと申請できない。
●3年目は復職に向けてリワークプログラムが始まる。
心の病はそう簡単に治るものではありません。休職は権利でもあるので、無理をしないで休職し、治療に専念しましょう。
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