夏休み・冬休み・春休みって教員は何しているの?~特別支援学校/小学部編~

子供たちが休みになる長期休業。特に子供たちが夏休みに入ると、「学校の先生は夏休みがあっていいわね」と言われることが多くあります。それは全くの誤解です。そもそも夏休みとは子供たちが休みになるだけで、教員の休みではありません。

「学校に子供が来ないのなら、仕事なんてないじゃない?」

そう思われている方のために、学校の先生が長期休業中に何をしているのかをお伝えできたらと思います。

休業日とは

休みの呼び方の違い

学校から配布される学校だよりや学年だよりには、子供たちが学校に来ない日を『休業日』と示されていると思います。つまり夏休み・冬休み・春休みという呼び方は通称言われている言葉で、正式には

夏季休業・冬季休業・春季(学期末・学期始)休業

と言います。

さらに学校で言う休業日とは…学校が休みなので、授業はありません

という日をさします。

これはあくまでも児童生徒の対応表現で、教員が休みというわけではありません。もちろん土曜日・日曜日・祝日の休業日は、法律で定められた休日なので教員も休みですが、夏季休業、春季休業(学校では年度末休業、年度始休業と言われるところが多い)冬季休業は休みではありません。その場合、休みたいときは「休暇」申請をする必要があります。

夏休み・冬休み・春休みがあるわけ

なぜ

そもそもなぜ夏休み・冬休み・春休みがあるのか

ずばりそれは

は、暑すぎて健康管理が難しいから

は年末年始という1年の切り替わりで、国民の休日があるから

は、学校の学期末と新年度の切り替わりの時期だから

です。分かりきっていますね。

また、その期間は、地域によって異なります。暑い地方は夏休みが長く冬休みが短いし、冬、雪などで通学に困難な地方は夏休みが短く冬休みが長いのです。またその日数も統一しなくてよいので、例えば同じ関東地方の東京都と埼玉県では季節的環境は変わりませんが、

東京都は4月6日が始業式
東京を除く関東地方の多くは4月8日が始業式

といったように、学校の始まり日などが違います。


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休業日の仕事

休業日は何してる?

学校では、休業日に授業は行いませんが、部活動、PTA活動や地域の行事を行うことはあります。(PTA活動や地域の行事参加は、いくら担任している子供がいても、ボランティアで手当はでません。)そういった行事には参加することがあります。

また休業日には当番があって、その日にあたると学校内の戸締りや水回りの掃除などを行う必要があります。(この当番は教員間で話し合って日にちを変更することが可能です。)

子供たちが休みに入ると、毎日の授業の準備がなくなるので、気分が楽になるのは確かです。今まで早く出勤していた教員も勤務時間開始直後に来るようになり、退勤時間もぴったりに帰るようになります。(余談ですが・・着替える必要がないので、服装も自由。職員室の服装がガラッと変わり、ちょっと華やかになります😄)

休業日に入るにあたって

教職員は休業日1か月前くらいから動静表というものを提出します。(いわゆる休業日何をするかの表です)

前もって計画を立てるわけですが、あくまでも管理職が管理するための書類ですので、実際と違う場合は訂正がききます。

年休(有給休暇)の使い方

休業中は児童生徒がいない分、年休を使って自由に休むことができます。(管理職や事務職員は学校運営上、自由に休むことができないので、立場の弱い教員がちょっと優位に立てる瞬間かな😅)また時間休をとって、朝遅く来たり、午後は早く帰ったりすることもできます。(当日変更も可能)

勤務時間は?

勤務時間はしっかりと守られ、残業する教員はほとんどいません。(管理職も早く帰りたいので、定時に帰るように勧められます)また昼休みの時間もきちんと確保され(休憩時間といいます。時間は45分です)、その時間になると外に食べに行ったり、買いに行ったりすることもできます。(給食が無いのでお弁当を持ってくることになります)

それでは、下記でそれぞれの休業中の過ごし方を具体的に述べていきましょう。

夏季休業日は何してる?

夏休み

この夏季休業中に年休(有給休暇)を利用する教員が多く、出勤してくる教員が日に日に減っていきます。年休は新規採用は20日、臨時採用教員の場合はさらに少ないので、そんなに休むことはできず、学校に来て仕事をする人が多いのが現実です。

ちなみに! 年休は20日からスタートし、その残日数が翌年に持ち越されます。(毎年20日+前年度の残り)そのため勤務年数が増えるほど休みは増え、最高40日になります。 ただしこれは本採用職員に該当するもので、臨時採用教員にはあてはまりません。臨時採用教員は、雇用期間に応じて年休が与えられますが、本採用職員よりとても少ないです。

教職員には年休とは別に、夏季休暇5日が与えられます。(臨時採用教員は、雇用日数によってかわります)お盆になると学校は学校休業日というものを設けるようになり、その日に職員は学校に勤務することを避けるようにと通達がでます。なので、お盆を挟む前後の週で年休(有給休暇)と夏季休暇を組み合わせて2週間以上休む教員もいます。←これが教員のうまみですね・・一般企業じゃありえません。

東京都知的障害教育部門 小学部教員の一例です

7月の下旬から8月下旬までが一般的な夏休みでしたが、コロナの蔓延で授業数確保のために普通小は8月下旬に始業式をするようになってきています。しかし特別支援学校は、まだ9月1日が始業式なので一般小学校より長い休業日です。

御存じの通り、終業式が終わると次の日から休業日に入ります。教員はどのように過ごしているのかをまずは、夏季休業日から月別で説明していきたいと思います。

【7月】

7月下旬は午前中にプールや部活があり、午後は全体研修がたくさん組まれています。

プール

夏季プール

7月31日までは、夏季プールや部活などが行われます。これには児童生徒が登校してくるので、教員が対応します。しかしプールは授業の一環ではないので、お世話はしますが指導はしません。それもプールの時間のみの支援です。(ほとんど午前中です)

具体的な流れとしては、

1.プール日の児童が朝、スクールバスに乗ってきます。教員はいつも通り児童を迎えに行きます。

2.児童は教室等で着替えます。教員は着替えを支援したり、プールカードをチェックしたりします。(連絡帳はありません)授業ではないので、朝の会や帰りの会などは無く、着替えが早く終わった児童は自由時間で、教員は見守りです。

3.時間になったらプールに行き、入水します。児童は教員の指示のもと決められた時間に入水します。先ほども述べた通り、指導ではないので、入水した児童は自由に遊びます。安全上、もちろん教員も一緒に入ります。

4.プールが終わったら教室等に戻って着替えます。11時30分ごろが下校の時間なので、その時間になったらバスや放課後デイサービスに引き渡します。

プールは1つしかないため、入水日や時間を小・中・高と分けるので、毎日あるわけではなく、週に2~3回という感じです。

ということで、プールがあるときの教員の仕事は

・自分の学年が入水するときは自分もプールに入ります。

・自分の学年が入らない時は、他の学年の応援に入ったり、プール監視をしたりします。

・その間何も割り当てられていない教員は、自分の事務作業をしたり、教室を片付けたりして自由が利く時間です。

高等部は夏季に部活があります。部活担当の教員が指導にあたります。ですから、小学部や中学部の教員が部活に応援に入ることはありません。

研修参加

7月下旬の午後は、教員の研修や教材作りが入っています。内容は学校によって様々です。研修の中には悉皆(しっかい)研修と言って、参加が義務づけられたものもあります。

その他の研修は義務ではありませんが、教員の資質向上のための研修なので、ほとんどの教員は参加します。(誰が参加しているかしていないか管理職はチェックしていますよ!)

教材作りの研修は実際に教材を作ります。これは自分が作りたいなと思ったら参加する感じです。教材費がかかりますが、自前の教材が少ない人には、嬉しい研修です。

悉皆研修…教員が絶対に受けなければならない研修。このときに年休や都合がつかず参加できない場合は後日受けなおすか、レポートを提出しなければなりません。この研修は終業式の午後か、夏季・冬季・年度始休業日に入るとすぐに行われることが多いです。

その他

後期に行われる行事の計画を立てたり、分掌の仕事をしたりします。

行事担当になると、それなりの資料を作らなければならず、日常の中で計画をたてるのはほぼ不可能です。そのため休業中はありがたい時間になります。

遠足の下見に行く教員もいます。(遠足の下見は出張扱いになるので、出張費がでます。)


【8月】

8月になると、外部(他の学校)が行っている研修に参加する教員、免許取得に行く教員などで学校に来ない教員が増えます。(外部の研修は自分で行きたい!とお願いするので、出張費はでません)そのため、上旬から出勤する人が少なくなり、研修もぐっと減ります。その分自分の事務仕事や教材作りの時間に費やせます。

仕事内容では、

8月31日に個別指導計画(後期分)の提出があるため、その作成にボチボチ入ります。

自分の教室の片付けや2学期に向けた教材作りなど、自分なりの仕事を行います。

せみとり

8月中旬は圧倒的に休暇に入る教員が多いです。お盆を挟んで2週間くらい休暇を取るので、ほとんど教員は出勤しません。(管理職はいます。ただし学校休業日はいません。)

8月下旬になると、学年の教員と出勤日を合わせて、学年会を行ったり、学校全体の研修が入ったりします。また個別指導計画の提出がせまっているので、出勤をしてくる教員が多くなります。

ラスト1日はさすがにほとんどの教員が出勤し、2学期の教室整備や始業式の準備にあたります。



冬季休業日は何してる?

冬休み

東京都は12月26日から新年の1月7日までが冬季休業日になっています。教員も12月29日から1月3日までは年末年始休暇が与えられているので、その日はお休みです。


クリスマスツリー

年末

年末は悉皆研修が1回入る程度で、あとは各個人で時間を使うことができます。冬季休業は後期の個別指導計画の評価や、指導要録の記入、支援計画の評価が迫ってきているので、少しずつ取り掛かかる教員もいますが、終業式の次の日以降は、年休を使って休みに入る教員が多いです。


年始

年始は4日からですが、4日はほとんどの教員が年休をとります。(お正月気分がなかなかぬけません)始動は6日からというところでしょうか。身体ならしに少しずつ仕事を増やしていきます。教室準備、自分の事務仕事などを行います。始業式1日前には、午前中に職員会議や研修、午後は学年会が組まれることが多いです。

冬季休業も出勤するもしないも自分で自由に決めることができるので、ありがたいですね。


春季休業日は何してる?

春休み




休業に入る前に……

正規採用者の場合、東京都では2月下旬に異動者に対して内示がでます。その後、3月早々に移動先に呼び出され、面談と学校を案内されます。異動者は出張扱いで突然出かけるので、その時期に出張者を見ると大体「あの人は異動なんだ」と分かってしまいます。

異動がないものは3月中旬にクラス編成や校務分掌が発表されます。そのため3月中旬ごろから気分的には新学期モードになり、新しいクラスの児童を偵察にいきます。(給食の様子を見に行ったり、着替えや排せつなどをみるために今のクラスにお手伝いに行ったりなど)また校務分掌の引き継ぎなども行われます。

また、修了式までにやることがたくさんあります。2.3月は児童に関する書類:個別指導計画後期分評価、来年度分計画(学校によってはないところもある)、支援計画評価、学習指導要録、学習の記録(学期の児童の出欠や記録が書かれたもの:学校によって書式は様々です)などがあり、書類に追われます。


桜

学期末休業

修了式・卒業式が終わり、最終的に児童生徒が登校しなくなった次の日から3月31日までを学期末休業といいます。

学期末休業は書類の最終的な〆や、今まで使用していた教室の掃除、新しい教室に荷物を入れ替えるなどが主な仕事です。学校によっては来年度の教員が集まって、異動者が来る前に新学年会、新分掌部会などが行われるところもあります。(大まかな流れを確認するような感じで、担当決めなどは4月1日以降です)

多くの教員は休業日が始まって2日間は今の教室を片付け、空の状態ににします。(大掃除です)

次の2日間は来年度の教室に自分の荷物をすべて運びます。

この間に予定があったり都合が悪かったりしたら年休をとることが可能です。東京都は3月が年休の締めなので、20日を残して余った分を消化する教員がほとんどです。なので最後くらい休みたい!という人も多く、30日や31日は休む人が多いです。

とはいうものの…

校務分掌で教務の指導要録担当の人は、全学年の点検・格納をしなくてはいけないので学期末休業に入るとその仕事で大忙しです。すべてを電子化したので、慣れていない教員のやり直しや、手直しが結構あります。自分の教室の片付けまでなかなか手が回らず、休業日なのに残業😢という人も見かけます。本当に気の毒です。

また春に遠足をする学年は、この休業中に実際に遠足場所に行って、計画を作ります。(夏と同じく出張扱い)

異動の教員は、自分の荷物をまとめると、土日を利用して荷物を取りに来る人が多くいます。

31日には退職者の辞令がでるので、退職者は出勤します。(もちろん年休を取ることは可能です)その辞令式に参加する教員もいます。

たんぽぽ


学期始休業

4月に入ると年休がまた新しく始まるので休む人は少ないです。また4月1日は異動者との顔合わせや辞令交付式があるので、ほとんどの人が出勤します。そのため簡単な職員会議があります。ただこの日は異動者が学校の案内をされたり、新規採用者が自治体に行って辞令交付式に参加したりするため、職員がそろわないことも有り、重要な会議は2日以降になることが多いです。

異動でない教員は、自分のクラスの片付けや事務仕事(出席簿づくり、児童の書類づくり)、学年で児童の名前シール作りなどをします。

2日目は職員会議、研修が午前中にびっしり入っています。午後は学年会や学年で共通のものをみんなで作るといった作業をするので、自分の教室の片付けはあまりすることができません。

3日目・4日目は新分掌会議や教科会議など学校に関わる自分の仕事が入ってきます。特にスクールバス担当になると、バスの試乗やバスルートの確保の書類などが、また生活指導になると学校の施設の管理責任者や安全危機管理マニュアル作りなどの仕事が山のようにあり、その合間を縫って自分の教室の片付けをしなくてはなりません。休む暇がなく本当に忙しいです。

始業式前日には教室を整えなくてはならないで、残業をする教員も多いです。合間合間に始業式や入学式の準備が学年に割り当てられているので、なかなか自分の時間を確保することが難しいです。

ほとんどの教員が4月から学級づくりのために、一日フルで働いています。(当たり前ですね)



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まとめ

以上、学校の休業日の仕事についてまとめてみました。

結果的に児童生徒が休みに入っても教員は勤務日であるため出勤する必要があります。しかし一般企業と比べてずっと仕事が楽な時間であることは確かです。正直、この休業中に普段と同じ給料が支払われるのはうまみです。

特に

勤務日ではあるが、自分の都合に合わせて比較的自由に休暇がとれる

研修はあるが、それさえ出席すれば残りの時間は自分の時間を作ることができる

職員室だけでなく、自分の教室にこもって仕事ができる➡何をしていても見に来る管理職はいない

さらに小学部は

部活もなければ、高等部のように生徒に対しての進路指導もない!

こんな小学部教員もいました!!!

自分の知っている教員のなかで一番すごい(変わった人?)休業日の過ごし方をした人がいます。

休業日1日目から学校に来ず、休業日が終わる前日にやっと来る人がいました。その人は外部の研修をほとんど入れ、残りは休暇を取るといった感じでした。

そういう過ごし方をされると、新学期に向けての教室の整備や教科の話し合い、学年での取り組みなどが休業中に話せず、とても迷惑です。しかし自分の動静なので、誰も文句は言えません。

つまり教員は休業中に仕事はあるけど、こんなに自由な動きができるということです。

もちろん新規採用教員や臨時採用教員がそんなことをする人は誰もいませんが。

自由がきくからと言っても、節度ある勤務を守りましょう!

※各都道府県・自治体及び学校により、違いはありますのでご了承ください。

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